【気になる話題】セブン-イレブンが最短20分で届ける宅配ピザサービスを開始
安い価格で、「マルゲリータ」と「照り焼きチキン」を投入
セブン-イレブン・ジャパンが8月から開始した宅配ピザサービス。まさかコンビニがピザを焼き、それを最短20分で届ける時代が来るとは、想像もしなかった。しかし、この動きには、セブンの緻密な計算と戦略がある。これは単なる思いつきや一時的なブーム狙いのサービスではない。セブンは市場の動向と消費者のニーズを的確に捉え、新たな事業に挑戦しているのだ。
まず、セブンが提供するピザは「マルゲリータ」(780円)と「照り焼きチキン」(880円)の2種類のみ。選択肢は少ないが、とにかく安い。セブンの狙いは、注文から20分でピザを届けるという圧倒的なタイムパフォーマンスだ。従来の宅配ピザチェーンが配達に30分程度を要する中、セブンはその10分の差を武器にしている。忙しい現代人にとって、この10分は無視できないアドバンテージとなる。
さらに注目すべきは、セブンの「7NOW」という宅配サービスだ。このサービスでは、ピザに加えて、セブン-イレブンが扱う約3,000点の商品を同時に注文できる。飲み物やお菓子、日用品まで、必要なものを一度に手に入れられるのだ。これこそがセブンの強みであり、消費者に新しい購買体験を提供する鍵となる。従来のピザチェーンは、ピザやサイドメニューの注文に特化しているが、セブンは生活全般のニーズに対応できる点で大きく差別化を図っている。
成長を続けるピザ市場に目をつけたセブン
セブンがこのサービスを開始した背景には、成長を続けるピザ市場がある。2022年度のピザの市場規模は3,000億円を突破し、過去最高を記録している。コロナ禍による巣ごもり需要やスポーツイベントの影響も大きかったが、この勢いは今後も続くだろう。
また、ピザは粗利率が高い商品である点も見逃せない。たとえば、2,500円程度のピザの場合、原価は300~400円で、原価は2割程度。このように、ピザは非常に収益性の高いビジネスなのだ。
だが、セブンは単にピザを売りたいわけではない。ピザをきっかけに、他の商品も一緒に購入してもらう狙いがある。セブンの調査によると、7NOWの利用者の38%が「タイムパフォーマンスを重視する消費者」。近くにコンビニがあっても、そこに行く時間すら惜しいと感じる人々が増えている。セブンは、このニーズに応えるため、ピザを新たな武器として導入したわけだ。
本場イタリアのピザと比較しても仕方ないけれど…
ここで少し、俺のピザへのこだわりを語らせてほしい。実は、俺は若い頃、イタリアのレストランで働いていたことがある。だから、ピザの話になると、いろいろ言わずにはいられない。もちろん、セブンのピザと本場イタリアのピザを比較しようとは思わない。ただ、せっかくこの記事を読んでくれた読者には、ピザの真髄を知って欲しいのだ。
まず、ピザの本場イタリア、特にナポリでは、薪窯で焼くのが常識だ。なぜなら、ピザにとって、焼く時の温度と時間が極めて重要だからだ。薪窯は500℃を超える高温を保ち、生地を一瞬で焼き上げる。こうすることで、水分が生地の中に閉じ込められ、外はパリッと、中はふっくらモッチリとした食感が生まれる。この香ばしさと食感、薪窯ピザでしか味わえない独特の風味が、イタリアのピザの真髄だ。
次に、ピザの生地だ。毎日の天候や湿度に合わせて、職人が生地の発酵温度を変えて仕上げている。これが本物の職人技だ。イタリア最高峰のピザ粉で生地を作る。しかも、この生地は数日かけてゆっくりと発酵させる。これによって生地は非常に軽くなり、空気をたっぷりと含んだ気泡が生まれる。これが、機械で作るピザとは一線を画す、本物のもっちり感を実現している。
さらに、生地は一枚一枚、職人が手で伸ばす。生地に含まれた空気を潰さないように、内側から外側へと慎重に伸ばしていく。これにより、外側には柔らかな縁ができあがる。この回転させながら素早く一気に広げる技術、これこそが熟練の職人の技だ。機械では決して再現できない、人間の手だからこそ生まれる美しさとうまさがここにある。
そして最後は、トッピングだ。粉、塩、酵母、トマトソースはすべてナポリピザの厳しい規定に基づく最高品質のもの。そこにイタリア産のモッツァレラチーズを使用し、トッピングには世界の高級食材を使う。これにより、至福のピザが完成するというわけだ。
そんなわけで、セブンが宅配ピザを始めたというニュースを聞いた時、俺は正直言ってちょっと悲しい気分になった。だが、これもまた消費者ニーズに応えるための一つの手段だ。セブンが提供するピザは、ナポリの本場ピザとはまったく違うだろうが、忙しい日本の現代人にとって、その便利さとスピード感は無視できない。
将来は、宅配ピザを全国2万店舗へと拡大
セブンは、この宅配ピザサービスを、将来、全国2万店舗へと拡大する計画を立てている。今はまだ200店舗に限られているが、今後この規模で展開が進めば、ピザ市場においても大手宅配ピザチェーンに対抗できるだけの力を持つことになる。仮に780円のピザが1日1枚売れるだけで、年間56億円の売上となる。ピザは新たな収益源として、セブンにとって非常に有望な商品だ。
宅配ピザサービスの競争は、ますます激化するだろう。大手ピザチェーンは出店を加速させ、特にドミノ・ピザは2033年までに2,000店舗に拡大する計画を発表している。ピザハットもM&Aを通じて店舗数を増やしている。このような競争が激化する中で、セブンの宅配ピザがどう市場に食い込んでいくのかが焦点となる。
セブンの強みは、ピザ以外の商品の豊富なラインアップだけではない。既にドローンを利用した配送の実証実験も行っており、これが実現すれば、離島や郊外といった通常の配送が難しいエリアにも、焼きたてピザを届けることが可能になる。こうした革新的な取り組みが、セブンの宅配ピザサービスをさらに進化させるだろう。
さらに、セブンがこれまで培ってきた圧倒的なブランド力と全国規模の店舗ネットワークも無視できない。この広範なカバレッジを活用すれば、競合他社が容易にカバーできない地域にも、迅速にサービスを提供できる。セブンは、これらの強みを生かし、単なるピザ宅配業者とは一線を画す存在として、消費者の生活に新たな価値を提供していくつもりだ。
要するにセブン-イレブンの宅配ピザサービスは、単なる新商品の導入にとどまらないのだ。これは、コンビニの新たな利用価値を創造し、ラストワンマイルを制するための戦略的な一手だ。宅配ピザ市場が今後どのように進化し、そしてセブンがどのようにそのポジションを確立するか。これからの展開を見守る必要がある。
セブンの宅配ピザが日本全国に広がり、消費者の生活にどれだけ深く浸透していくのか、また、他のコンビニチェーンや宅配業者がどのように対抗していくのか。セブンが示すこの新たな動きは、今後の小売業界全体にも大きな影響を与える可能性がある。セブン-イレブンの宅配ピザ、これはただのサービスではなく、コンビニの未来を切り開くための挑戦だ。

