台風来る来る詐欺は視聴率を稼ぐため ― ハードボイルド健一の視点

Featured Video Play Icon

【今日の話題】台風の過剰報道はテレビのエンターテイメントなのか

台風の前にやっておくべき対策

台風が来ると、テレビ局内は高揚する

台風10号が日本列島に接近してから、すでに1週間が過ぎた。それにもかかわらず、テレビでは連日、台風10号に関するニュースが流れ続けている。風と雨の音、緊張感漂うリポーターの映像、繰り返される警告。視聴者に恐怖を与えることで、視聴率を稼ぐ構図が、この1週間で露わになった。台風は確かに自然災害として恐ろしいものであるが、マスコミがその恐怖を利用し、不安を煽り続ける現状には、疑問を感じざるを得ない。

あるテレビ局関係者によると、「台風が来ると視聴率が数%上がるから、局内の雰囲気もどこか高揚している」らしく、もはや台風報道は視聴率を稼ぐための「商品」として扱われている。この1週間、テレビ局は台風10号を視聴率アップの絶好の機会として捉え、同じ映像や情報を何度も繰り返している。しかし、これは報道の本来の使命を見失っているのではないだろうか。

台風情報は、祭りかエンターテインメントか

台風が接近すると、テレビ局内では視聴率を上げるための準備が一気に加速する。報道スタッフが現場に飛び出し、窓ガラスの割れた家、壁の剥がれた建物、冠水した道路などのリポートを行い、その映像を何度も流す。視聴者に恐怖を与え、目を離せなくさせるためだ。視聴率が上がれば、その番組は成功とされ、スポンサーからの収益も増加する。そのため、台風報道は一種の「祭り」として扱われ、スタッフたちのテンションも高まる。視聴率という数字が、彼らを過激な方向へと駆り立てるのだ。

しかし、台風10号のニュースが1週間近くも続き、同じような内容が繰り返される状況に、視聴者は少なからず疲弊しているに違いない。初めは重大な自然災害としての報道が、次第に恐怖を煽るだけの「エンターテインメント」へと変貌していく様子は、視聴者に不必要なストレスを与えている。視聴者は本当に必要な情報を得られず、むしろ不安が増幅され、冷静な判断力を失ってしまう危険がある。

特に、今回の台風10号は異例の動きを見せている。本当に速度が遅い。8月末から九州ををゆっくりと縦断し、土日も西日本にほぼ停滞する見込みだ。きっと、これはマスコミにはたまらない状況だろう。うまくいけば(?)、さらに1週間、台風情報を流し続けられるからだ。

しかし、そこで暮らす人々はそうはいかない。九州から四国、そして西日本全体にかけて、大雨と暴風が続き、9月初めには東日本にも影響が及ぶと予想されている。台風がもたらす大雨は、単なる雨ではない。台風の北側には前線が停滞し、暖かく湿った空気が前線を活発化させ、広範囲にわたって大雨を引き起こしている。台風の暴風圏内にいる人々は、本当に死活問題だ。

コロナ禍と同様の買い占め行動が起きている

マスコミの過剰報道は、視聴者に不安を煽るだけでなく、社会全体にも混乱をもたらしている。例えば、それは買い占め行動に現れている。マスコミが「品薄」や「在庫切れ」の情報を強調するため、人々はさらに不安を感じ、必要のない人まで買い占め行動に走ってしまうのだ。新型コロナウイルスの流行初期に見られたマスクや消毒液の買い占めと同様に、マスコミの報道がパニックを助長し、社会に不安と混乱を広げているのだ。

買い占めは、単なる物資の不足だけでなく、社会的な不安を増幅させる要因となっている。高松市のスーパーでは、台風に備えて食料品の売り上げが通常の1.5倍から2倍に増えた。人々が備蓄品として水やレトルト食品を大量に購入した結果、必要以上の物資が売り切れ、本当に必要な人々に行き渡らないという悪循環が生まれている。このような行動は、実際の危機管理とはかけ離れており、社会全体に不安を広げるばかりだ。

さらに、このような報道が続くことで、視聴者は本来の冷静な判断力を失い、パニックに陥りやすくなる。スーパーでの買い占め行動が広がれば、他の人々も「今のうちに」と不安に駆られ、同じ行動を取ってしまう。これがパニックの連鎖であり、社会全体に負の影響を与える結果となる。

マスコミが本当に伝えるべき台風への具体的対策

台風報道が視聴率を稼ぐためだけのものになってしまっている現状だが、そろそろ僕たちは、マスコミの存在意義を再考すべきだと思う。マスコミが視聴者に提供すべきは、恐怖を煽る映像や情報ではなく、冷静な対応を促す具体的な対策であることは間違いない。

たとえば、台風接近に備えて「物干し竿や植木鉢を家の中に入れる」、「側溝や排水溝の掃除をして水はけを良くする」、「雨戸やシャッターを下ろし、窓ガラスに養生テープや飛散防止フィルムを貼る」といった基本的な対策や、断水や停電に備えて、「スマートフォンやモバイルバッテリーの充電を完了させる」、「懐中電灯や予備電池を用意する」、「湯船に水を貯め、飲料水を確保する」といったことだ。また、低地や川沿いに住んでいる場合は、浸水を防ぐために土のうやゴミ袋を活用した「水のう」を準備することも有効だし、地域の避難所を確認し、家族で情報を共有しておくことも大切だ。

マスコミは、進路の不確定な、確証のない予想を繰り返したり、被災した街や人の情報ばかりを流すのではなく、もっと多くの視聴者の役に立つ情報を流してほしい。

視聴率だけでは信頼性がなくなる

繰り返しになるが、マスコミに求められるのは、視聴率を稼ぐことではなく、視聴者にとって本当に必要な情報を正確に伝えることである。台風10号が接近してから1週間近くも同じ内容のニュースが繰り返し放送される中で、視聴者は次第に疲弊し、マスコミに対する不信感を抱き始めている。ただでさえ、その信頼性が揺れ動いているマスコミは、もっと危機感を覚えるべきだ。

報道の役割は、視聴者に冷静で正確な情報を提供し、彼らが状況を正しく判断できるようサポートすることだ。視聴率を追求するあまり、恐怖を煽ることを目的とした報道を繰り返していては、視聴者はマスコミに対してますます不信感を抱くようになるだろう。

視聴者が求めているのは、正確な台風の進路や実用的な情報であり、恐怖を煽る映像や繰り返される過剰な報道ではない。災害時には、正確で信頼性のある情報が何よりも重要であり、それを怠ることは報道の使命を放棄するに等しい。マスコミが本来の役割を取り戻すためには、視聴率に左右されずに、視聴者に寄り添った報道を行うことが求められている。

災害時こそ、マスコミ本来の役割が問われる

台風10号が過ぎ去った後、視聴者の心に残るのは、台風そのものの恐怖ではなく、マスコミが与えた過剰な不安かもしれない。視聴率を追求するあまり、同じ内容を繰り返し放送し続けることで、視聴者はマスコミに対して不信感を抱くようになる。災害時こそ、マスコミはその本来の役割を果たし、視聴者にとって本当に必要な情報を過不足なく伝えるべきである。

視聴者もまた、冷静な判断力を持ち、マスコミが提供する情報を精査することが求められている。不安に駆られてパニックに陥るのではなく、冷静に備え、必要な情報を自ら選び取る力が、今こそ必要とされているのだ。マスコミと視聴者の双方が、この災害時において真の役割を果たすことが、社会全体の安定と安全につながるのである。

投稿者

  • ハードボイルド健一イラスト

    30代男性。独身。ニュースをハードボイルドな視点から分析。冷静かつ切れ味鋭い視点で現代社会を語る。短く簡潔で、無駄のない文章。男性的な視点が強い。

    View all posts
タイトルとURLをコピーしました